湯布院の景観まちづくり
湯布院に知人が来る時によく言われるのが、湯布院のセブンイレブンはモノクロで色
が控えめにしているんだねーということです。実際に近くで見るとモノクロというよりはこげ茶ですね。モノクロに見えるぐらい控え目にしているのがわかります。
これは、湯布院が自然の美しさを壊さないまちづくり運動をしてきた成果ですね。
昭和45年の猪の瀬戸湿原でのゴルフ場建設計画を期に、地元住民が主体となって取り組まれてきたとのことですので、全国的に見てもかなり早い段階で動いてると思われます。
知っている方は知っていますが、京都などのこういった景観を大事にする土地ではセブンイレブンは赤を控え目にして町と調和したデザインにしています。
セブンが偉いとかではなく、湯布院ではまちづくりのデザインブックが整備されており、湯布院全体で景観を作るという意識がものすごく高いんですね。
セブンのようなチェーン店は見たらすぐに違いがわかってしまうので逆に目立っているということです(笑)
それに比べローソンはそのままの状態です。これは恐らく色の指定で赤などの過激な色は抑えるように言われるのに対し、ローソンは基本カラーが青のため規制がなかったんだと思います。
こうした色に関してはすごくわかりやすいですが、実は他にもめちゃくちゃ細かく指定があります。
看板をつくるにあたっての6つの心得
下記は屋外広告物、つまり看板についてですね。それだけでもこれだけの決まりというか心得があるんですよ。
看板をつくるにあたっての6つの心得
(『ゆふいん建築・環境デザインガイドブックより)
屋外広告物の一般基準 B(由布院盆地景観計画区域内) 由布院盆地景観計画区域
※但し、由布院盆地景観計画区域外でも最大限配慮すること
1.盆地の程よい大きさを大切にし、小振りなつくりとする
① 由布山を敬い、眺めを大切にし、高さを低く抑えていく
② 盆地の程よい大きさを大切にし、看板を小さく抑えていく
③ 看板と建物を一体的にデザインし、看板が小さく見えるように工夫していく
2.ひとの尺度を中心に、細やかな配慮を心がける
① 段階的な大きさの変化で空間を構成していく
② まちゆく人や自転車の視点を中心に考えていく
③ 目印となる樹木を尊重する
④ 表情を豊かにする、細やかな部分を大切にしていく
3.周囲との調和を大切にし、控えめにつくる
① 敷地いっぱいに建てずにできた「ひき」のスペースを大切にする
② 場所と大きさを考えた色づかい
③ 風景や建物と調和した素材
④ 看板同士のデザインのバランスを考える
4.通りに対して堅く閉ざさないつくり方とする
① 奥を感じさせる看板のつけ方
5.まちゆく人をもてなす空間を、あちこちに用意しておく
① 暮らしぶりや住み手の気配りを魅せる
6.ゆふいん固有の素材感や風合いを大切にする
① うまく年をとって、周りの風景となじんでいく素材を使う
看板だけでこれだったら建物はどうなるのでしょうか(笑)
他にも田んぼの用地が決まっていたり、建物の高さが決まっていたりと一度見たことあるんですが、かなり分厚い辞書のようになっています。
これだけの決まりを守ってきたので今の湯布院の素敵な町並みが保たれているんですね。
と、ここで締めてもいいんですが、湯布院に来たことある方はあれ?と思いませんでしたか?
まちなかでの屋外広告物等の氾濫
そう、普通に赤いどぎつい色をした看板とか建物あるじゃん!ってことです。
例えばコスモスだったり、スーパーだったり、湯の坪街道の看板、のぼり旗だったりですね。
これらがなぜ普通に建てられて営業しているのかというと、決まりではあっても法的な拘束力はないということです。
法的には問題がないのにやめなさいという活動を考えると、かなり大変なんでしょうね…。
おわりに
これからも湯布院が栄えていくなかで無視できない課題なのでなんとか、もう少し市としての条例が整備していけばいいなと私は思います。
以上、湯布院のセブンイレブンのモノクロなのはなぜ?と湯布院の景観まちづくりについてでした。